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AD変換単位の調べ方

4.2.1 ADUとは

ADUとは、Analog to Digital Unitの頭文字をとったもので、CCDのピクセルに 溜まった電子の量をデジタル量に変換する際に、電子何個分を1カウントに とるかという係数である。

なお、もともと電子数は離散的(デジタル量)であるのに、なぜ「アナログ」かというと、CCDは読み出す際に、1ピクセル毎に溜まった電子(その全電荷をQクーロンとする)を、CCDチップ内にある読出し用のコンデンサ(容量Cファラッドとする)に入れ、そこで生じた電圧をAD変換している。そのコンデンサには 電圧V=Q/C が発生する。この電圧VをAD変換器でデジタル量に直すからである。 (コンデンサーの式 Q=CV については、高校物理のコンデンサーの章に詳しい)

 なお、WebサイトによってはADUは、フルウェル(1ピクセルに溜められる最大電子数)を16ビットで割った量であると書いてあるものがある(ひょっとして昔、私が良く知らないままに言っていたことが影響しているのかも知れない)が、厳密に言えば間違いである。CCDのメーカとしてはできるだけフルウェルを有効にデジタル変換したいので、ADUに近い値にはなっているが、イコールではない。  

4.2.2 ADUの値を自分で調べる方法

 ADUの定義より

    ADU = N_s/N_count

ここで、CCDで検出された光電子数をN_s、AD変換された後のカウント数をN_countとする。   一方、標準偏差をSDとすれば、光子統計から √(N_s) = SD なので  

    ADU = SD^2/N_count

 

で求めることができる。  

 N_sの真の値は「神のみぞ知る」(注 1)であるが、均一な照明(直線性を調 べた時の照明より明るいものが必要)を当てた壁を撮像した場合は、 多数のピクセルの平均の電子数(平均カウント数ではない)と思うこと にしよう。

 照明を暗いものから明るいものに変化させながら撮像する。その方法は、 8枚ほどコピー用紙を重ねたものをCCDの前に置き、1枚づつ紙を減らして いくなどする。  画面の特定の領域を測光し、平均値M[count]と標準偏差SDを求めよう。

 そして、SDを2乗したもの(上式のN_sに相当する)を横軸に  縦軸には平均値Mをとる。得 られた回帰直線の傾きがADUになる(注 2)。

(注1)「N_sの真の値は『神のみぞ知 る』」と書いたことについて

上記の記述に対して、上野宗孝さん(東京大学、赤外天文学・赤外撮像素子など装置開発がご専門)から次のようなコメントをいただきました。(注2も同じ) 上野さんに感謝いたします。

「 N_sの値を正確に測定することは以下の方法により一応可能です。 (しかし、この方法は自分で CCD を自由に駆動できる環境にないと出来ないため、一般的には『神のみぞ知る』という物に近いことは確かですが・・・)

この方法で一度測定をした種類の CCD については、CCD の製造のプロセスが同じ場合には、あまりバラつかない値ですので(同じ半導体プロセス下ではCの値が比較的一定になるため)どこかで情報を拾ってくることが可能です。

N_sの測定方法。

CCD には出力アンプにリセット用のトランジスターが必ず存在します。
これは各ピクセルごとのデータを出力アンプの入力容量 C に流し込み
電圧Vを測定する際に、ピクセルごとに電荷を捨てる作業を行うもの
です。このリセットトランジスターの電荷を捨てる信号線が多くの場合
デバイスに独立したピンとして存在しています。
しかし多くの場合、CCD の回路系で別の電源ピンと合わせる形でCCD
のハウジングから取りだされてしまうことが多いため、付加回路にそれ
らしい信号ピンは存在しないことが多いようです。

このピンには、毎ピクセルの電荷をリセットするたびに、その電荷に
相当する電流が流れています。この量は通常微々たるものです。しかし
画面全体に均一に明るい光を照射し、毎秒10フレーム程度の速度で
例えば1000×1000画素の CCD を動かした場合、(0.1 秒の露出
で例えば3×10^4 電子の電荷が発生する程度の光源を用いると)、
リセット回路に流れる電荷は毎秒概ね

 (電子の素電荷)×(各画素の電子数)×(画素数)×(フレームレート)
    = 1.6×10^(-19)×3×10^4×10^6×10
    〜 5×10^(-8) クーロン → 0.05 μA

となり、測定可能な範囲に入ります。(もちろん CCD の出力電圧も同時に測定します。)

現実にこの方法で、N_sが測定されている CCD が多数存在します。 ということで一応、ある程度良い精度で測定可能です。」

(注2)「上記の方法では、

ポアソンノイズにピクセル間の感度ムラ(または感度ムラを補正した残差分)の値が加わってしまいます。

これを避けるためには、同じ明るさで撮像した複数のフレーム間で夫々のピクセルごとの標準偏差を求めて、その画面全体での平均値を使用することで回避できます。ただし、『同じ明るさで撮像した複数のフレーム』を用意することは神業ですので(一般的に電球などの光源は明るさが時間変化しますので)、ダーク画像の差し引き後に明るさの変動分をフレームごとにスケーリングしてやる必要がありますので、この方法は結構面倒です」

参考までに、上野宗孝さんが日本語でお書きになった入手しやすい文献を挙げる。

 「CCD解体新書5」 天文月報・vol 89, No. 5, 222 1996
 「CCD解体新書6」 天文月報・vol 89, No. 9, 399 1996
 「PtSi赤外線カメラの開発と銀河中心領域の観測」天文月報・vol. 88, No 9, 3991995

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Last modified:2009/03/08 21:46:21
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