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OTO - Ohshima Tamashima Observatory- - LX200R_tracking Diff

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ミード製のLX−200Rの恒星時追尾について、以下のように2つの問題点がある。
!ミードLX−200Rの恒星時追尾のレートについて

<注意>LX−200の追尾レートは、'''デフォルトでは恒星時より遅く設定されている'''


  つまり、デフォルトでは極軸は、24時間で360度回転するように設定されている。
  つまり、'''恒星時ではなく、太陽時追尾'''なようです。

  工場出荷時設定のまま(モータ駆動周波数=60.0Hz)では、'''追尾は当然遅れる。'''
  その追尾誤差を角度で表すと、8時間で19.66分角東へずれることになる。
   モータ駆動周波数は60.2Hzにしなければならない!!!
 つまり、60.0×(24h)/(23h56m04s)=60.1643Hz ということである。

  その追尾誤差を角度で表すと、'''8時間で19.66分角東へずれる'''ことになる。
  実際には、星が大気差で浮き上がることや、主鏡の倒れでより下を向く
 (=視野中心が西へ向く)などの効果により、この数字のままのずれが生じる訳ではないが。
  2010年1月8日の観測では、追尾遅れの実測値は10.5分角/8時間程度です。

   モータ駆動周波数は、60.1Hzまたは60.2Hzにした方がよい!!!

 つまり、恒星時で追尾するためには、60.0×(24h)/(23h56m04s)=60.1643Hz という周波数になる。大気差による浮き上がりがあるので、高度30度以下では60.1Hz、それ以上での高度では60.2Hzという設定で実用になっている。

これをハンドセットから入力するか、またはPCからコマンドで入力しないといけない。

The Sky 6ソフトからだと、望遠鏡とのリンクを確立した後に、メニューの

 Telescope→Options→Terminalで開かれる窓に
 「:ST60.2#:ST60.1#」と入れ、sendボタンを押す


 以上のことに気付いたのは、"Meade Telescope Serial Command Protocol" Rivision L(9 Oct. 2002)」 p.12を読んだからです。そこには次のような記述がありました。

  :STff.f#
     Sets the current tracking rate to ff.f hertz, assuming a model where
     a 60.0 Hertz synchronous motor will cause the RA axis to make exactly
     one revolution in 24 hours.
  
   :STff.f#コマンド
   現在の追尾レートをff.f Hzに設定する。ここでは、60.0Hzのシンクロナス
   モータが24時間で正確に1回転させるモデルを仮定している。
  

 実際に、これまで多くの系外惑星のトランジット観測を行ってきましたが、長時間観測すると必ず追尾遅れが生じていました。この原因は、てっきり、シュミットカセグレン鏡筒特有の主鏡が望遠鏡の姿勢によって傾く現象によるものとばかり考えていました。が、このLX-200コマンドの記述を見て、何とLX-200はデフォルトでは恒星時追尾を行っていなかったんだ!と気付きされました



!追尾誤差

LX-200の恒星時追尾は、結構大きな周期誤差を持っている。その特性を測定してみた。

!!測定方法
同一天体の60秒露出のCCD撮像を3時間ほど連続して行ったデータから恒星の重心位置を読取った。
CCDカメラ:OronStarShootPro 2×2ビニング 露出60秒 読出し時間は約5秒
観測日時:2009年2月7日21時30分から24時30分に160枚撮像
測定ソフト:AIP4Win Ver.2.0

図1.LX-200Rのピクセル単位での追尾誤差

[[http://otobs.org/tech/Lx200_tracking1.gif]]

全体的な大きな追尾誤差は大気差によるものであろうと考えて、図中の2次式で補正したのが次の図である。


図2.長周期の誤差を除いた短周期の追尾誤差

8分程度の周期誤差が見える。

[[http://otobs.org/tech/Lx200_tracking2.gif]]



!誤差の周期
!!PDMによる周期解析

使用した周期解析ソフトは[[Peranso|http://d1052380.domain.com/peranso/]]で、PDMを使用した。CCD撮像によるサンプリング間隔は65秒以上なので、得られる周期としては0.001以下は意味がない。

図3.LX-200Rの周期誤差

左図はPDM解析の結果で周期0.0055日(=180.5 cyc/day)であることがわかる。
右図はその周期で折り返したグラフで、平均的なズレの様子がわかる。
'''==恒星時(=23時間56分04秒)=='''24時間についてウォーム・ホィールギアの歯数180枚の周期0.00555日(=180cyc/day)であろう。

ちなみに右図の縦軸の単位はMagとなっているが、これは使った周期解析ソフトの表示が変更できないのでそのままになっているが正しくは[ピクセル]である。この場合、2ビニング後の1ピクセルは1.56秒角に相当するので、±15秒角程度のふらつきがあることがわかる。
[[http://otobs.org/tech/Lx200_track_error.gif]]




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