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Spectra of NovaCyg1975=V1500_Cyg

白鳥座新星1975=V1500 Cygのスペクトル変化

以下に1975年8月30日から9月4日(9月3日は曇天)の5日間のスペクトルを示す。

OAO91cm望遠鏡のスペクトロスキャナー(*)による観測は、ペンレコーダにより連続チャート紙に記録された。この新星は特に爆発速度が速く、日毎にスペクトルが大きく変化しているのがよくわかります(8月31日のものは、4時間ほどの間にも変化しているのがわかるでしょうか)。

 なぜ私がそのような記録を持っているか  私はその頃学部4年生の卒業研究のテーマにフレア星を選び、その一環として年に4回ほどOAOで行われるフレア星の3色同時測光観測(PIは初期が大沢清輝さん、後期が小平圭一さん、実際には現地職員の市村喜八郎さんが観測のほとんどを担当していた)に参加していました。その1期間にあたる8月30日にOAOに行ったところ、市村さんから「昨夜本田さんが明るい新星を発見したから、91cm望遠鏡はスキャナーに付け替えて観測する。フレア星は観測できなくなったけど観測を手伝ってよ。その代わり、後半夜は自由に使っていいよ」と言われました。それで前半夜は新星の観測を手伝い得られたデータは天文台のもの、自分のデータが得られる後半夜は一人で観測し新星はもちろん、明るい星のスペクトルを撮りまくったのでした。そのためにここで示すデータは、後半夜、南中すぎの観測が多いです。

(*)スペクトロスキャナー:走査型分光計 通常の分光器Spectro Graphは、観測時にはグレーティングは固定し乾板(あるいは、当時はまだ存在しなかったがCCDなどの2次元検出器)でカバーする波長全域を同時に記録するが、この分光器では固定した検出器として光電子増倍管(0次元、画素数は1)を用いてグレーティングを回転させスペクトル像の方を移動させ走査する方式を採用している。このスキャナーでは全波長を操作するのに2分間ほどを要した。その間空の状態が変化しないことが前提であるが、そのような保証はない。2次元検出器としては写真乾板しかなかった当時としては、直線性の良い全電子機器で構成された装置は近代的であった。写真分光器では数値データ化するまでに、暗室での現像、その後マイクロフォトメータなどで測定、線形化較正などという面倒な過程が必要だった。

Aug.30, 1975 n7508302332.png

Aug 31, 1975 22h45m JST n7508312245.png

Aug 31, 1975 27h10m JST n7508312710.png

Sep 01, 1975 n7509012540.png

Sep 02, 1975 n7509022550.png

Sep 03, 1975 曇天のため欠測

Sep 04, 1975 n7509042505.png

比較

デネブ s750830alf_cyg.png ベガ a750831alf_lyr.png


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Last modified:2025/06/29 14:52:22
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