フィルターで伸びる焦点位置
光学系と焦点の間にフィルターを入れると、焦点位置が伸びます。
そのズレの量は、フィルターの厚みと屈折率で決まります。その関係を求めてみる。
下図で、フィルターの厚みをtとし、フィルターを通ったために焦点位置が伸びた量をdとする。 また、フィルターの屈折率をnとする。 レンズや鏡などの光学系を通り焦点を結ぼうとする光は、フィルターが無ければ図の破線を通る。 フィルターがあると屈折して、図の青線の経路を通る。そのために焦点面の位置は、赤線の分だけ伸びた位置にズレることになる。
図で平行四辺形から焦点位置のずれ(下の赤線)は、フィルター内に書いた赤線と等しい。この赤線の長さが求める量である。以下、フィルターの部分を拡大した2番目の図で説明する。
下図は、上図のフィルター部分を拡大した図である。目的は赤線の長さdを求めることにある。
フィルター内で屈折した光(青線)が出て行くところを考えると
(1)
と書ける。一般に
であるから
なぜなら
であるから。
変形して
ここで、f/1.0の光学系で i=30°r=19°、f/無限の光学系で i=0°r=0°であるので
のとりうる値の範囲を考えると
となる。
したがって、
となる。
<結論>
フィルターの屈折率としてBK7のn=1.51をとると、
Fが1.0に近い明るい光学系では、d=0.38・t
Fが8以上の暗い光学系では、 d=0.34・t
と考えればよいことになる。
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