1.2.2  露出時間と測光精度-シーイングによるゆらぎ-

  大気の底である地上から見ると星はまたたいて見える。このシーイングの影響
による恒星の光量変化(シンチレーション)は、様々な周期の光量変化の重ね合
わせで生じる。周期の長い成分では、数秒の周期を持つことが知られている。

  このシンチレーションの周期より短い露出時間での撮像は、明らかに測光誤差
を引き起こす。1フレームである程度の測光精度を確保するためには、シンチレー
ションの周期の数倍以上の積分時間をかけて、シーイングの影響を打ち消す必要
がある。

こうして、測光用のCCD撮像の露出時間は、最短でも20秒は積分時間をかけるこ
とがよいことがわかる。

 実際には、シンチレーションの主な原因は、上空の直径20cm程度の空気塊
(アイソプラナパッチ)が望遠鏡の光軸上を移動していくことで生じると考えるとよい。
従ってシンチレーションの光量に対する影響(インテンシティの変化)は、特に口径
20cm前後以下の望遠鏡で大きい。口径が1mを超えると、口径の中に多数のアイソ
プラナパッチが含まれるために平均化されて、インテンシティの変化は小口径
望遠鏡に比べると少なくなる。

明るい星や、口径の大きな望遠鏡では、露出20秒でもCCDの直線性が悪化しな
いカウント数になるように、ピントを外して星像を広げ、1ピクセルあたりの光量を
減らす必要がある。


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