3.フラットフィールドの処理

(1)ダークの減算
  フラットフィールドを撮像した時と同じ冷却温度と同じ露出時間で、ダークフレームを
  数十枚撮像しておく。それらをメディアン(中央値)処理で1枚のダークのマスターフ
  レームを作成する。
  各フラットフレームからダークのマスターフレームを引き算しておく。

(2)マスターフレームの作成−薄明フラットの場合−
  ダークを引き算した数十枚のフラットフレームから1枚のマスターフレームを作成するには、
  メジアン処理か3σ除去平均を使うが、ここで問題になるのは、薄明スカイフラットを多数
   枚撮った場合、その間に空の明るさが変わることである。
   メディアン処理は、多数のフレームで、同じピクセル位置のカウント数の中央の値をとる
  のであるから、光源の明るさが変わると中央値付近の少数のフレームしか対象にならず
  多数枚撮像した意味がなくなる。  
   そこで、メディアン処理の前に規格化(normalize)する必要が出てくる。規格化とは、
  元の画像を、その画像全体の平均カウント数で割り算することにより、平均カウント数が
  1.0になる処理のことである。
  (AIP4WINでは、Calibrate->Setup->Standard->Flatframe Connection->
   Mormalize Medianを選ぶ)。
  こうして最終的に得られたフラットフィールドのマスターフレームの例を下左図に示す。
  
  (左)ノーマライズメジアン、(右)ただのメジアン median and NormalizeMedian
 上の2枚の図は、共に1.0秒露出で撮った薄明スカイフラット50枚を処理したものである。
撮像にあたっては、天頂付近を中心にして望遠鏡を振りながら、明るい星が同一場所に写らないように配慮した。
個々のフレームを調べると、かなり明るい星が写っているフレームが何枚もあるが、中央値処理後は消える。
 左図は、規格化して後にメディアンをとったもの。右図は、規格化なしの普通のメディアン処理である。
右図では、空の明るさが変わっているので中央値を取ると、中央付近の明るさを持った少数のフレームの中から
中央値を見つけ出すようになり、S/N比が低下する。さらに、その少数のフレームの中に星が写ったフレームがあると
それにも影響される(右図中の短線ではさまれた部分に星がある)
 平均カウント数は、40000カウント前後であるが、Normalize Median処理がうまくいくとバイアスパターンが
見えるまできれいなフレームになっている。


mean and median
この2枚のフレームは、メディアン(Normalized Median、左図)とただの平均値(右図)の処理の違いを示す。
平均値処理では、明るい恒星が写っているピクセルの値に、平均値が引きずられているために、50枚の
平均をとってもなお星が消えないで残っている。メディアン処理の有効性を示している。
もちろん3σ以上の信号をノイズとみなして除去した後の平均をとるという処理でもよい


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