スライディングルーフの再建 (2006年11月3日)

2004年8月末の台風で破壊された観測小屋を再建することができました。

スライディングルーフ:協栄産業製 SR23DA

  スライディングルーフの遠隔制御(IP制御)を7800円で実現しました。(詳細はこちらのページへ)

 

作業:自宅屋上に750kgのスライディングルーフを設置する。

方法の検討:

まず、自宅前の道路からレッカーで吊るのが一番簡単だが、道路上は電線類が蜘蛛の巣のように高密度に通っていて不可能。そのために、近所の駐車場からレッカーで小屋を吊り込むしかない。

 その駐車場と自宅の間には隣の家がある。したがって腕の長い大型25トンレッカーを使うしかない。しかし、その駐車場にはコンクリートの床が打ってあり、大型レッカーをそのまま入れたのでは、コンクリート床を割ってしまう。厚い鉄板を敷くしかない。


11月3日午前9時過ぎ まずは鉄板を敷く作業のために小型レッカーが鉄板12枚を持ち込む。この作業は、自宅を建て今回のルーフ用基礎工事を行った田淵建設(鴨方町)が担当。
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鉄板を敷いた上に25トンレッカーが乗り準備完了したところへ、スライディングルーフを載せた協栄産業のトラックが大阪から到着(10時30分)

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ルーフを開けレッカーで吊り上げる

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空飛ぶスライディングルーフ。見物に来た近所の人たちが見守る。

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手すりをまたぐ。手前は、小屋の基礎とすでに設置した赤道儀の台座。

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20cm赤道儀と9cm赤道儀用ピラーの上から降ろされるスライディングルーフ

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設置後にアンカーボルト用の穴をあける作業

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仕上げ作業に取り掛かる協栄産業の人たち

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小屋の引渡し終了後の内部 フリクションドライブ赤道儀


基本的にすべて作業は業者まかせでしたから体力は使いませんでした(翌日に、丸1日かけて床貼りを一人でやったので、こちらは疲労困憊しましたが、たまには体を使うのもいいもんです)。
一番考え込んだのは、小屋の設置方向を決めることでした。
視界の確保と風向き(雨の降り込む方向と左右の屋根のオーバーハング方向の関係)と、2つの赤道儀(高橋9cm赤道儀用のピラー脚は、将来その上にミードのフォーク赤道儀を載せるために設置)の配置、出入口の方向。これらの要素を考慮して、一番よい結果になるように小屋の屋根の向きを決めるために1週間以上かかりました。
スライドする屋根をどの方位に向けるかですが、普通に考えると南北に向けて、望遠鏡の台座を少し北にずらせば、北方向は多少視野が欠けても東西南が開けるので簡単です。 ところが我が家の場合は、すぐ側に電柱があり北西方向の空が高度35度近く観測できません。また、南東方向は30年も手入れしていない山があり樹木や竹林が成長し切っていて高度30度近く見えません(そのおかげで水島方面が隠されています)。そうなると、屋根を北西ー南東方向に開くように向ければ視界は一番確保できます。
が、極軸の向きが小屋の壁に45度を向き、あまり面白くありません。2本の赤道儀を並べるなら、誰でも東西方向に並べたいというのが人情です。
また1年近く溜めてきた気象モニターのデータを調べると、圧倒的に北東または南西の風が多いことが分かりました。つまり180度異なる風向の時が一番多いということです(基本的に裏山が南東方法にあるので、その山を避けるように風が吹き、局地的な風向きができていることを生まれてこのかた初めて気付きました。冬は北西の風とばかり思っていましたが、我が家ではそうなっていませんでした)。雨はその風に吹き流されてきますから、左右のルーフの重なり(オーバーハング)は、風下に向けないと雨漏りする可能性が強くなります。180度どちらかの風向に吹くのですから、どちらに向けるのもまずいのです。屋根はその風向と直角に、北西ー南東方向に向けるしかなさそうです。
結局、視野の確保と風向きを優先させて屋根は北西ー南東方向に開く方向にしましたが、出入口が南西なので、フォーク式赤道儀の尻の方から出入りするようになり、出入り時に狭苦しい思いをします。
夜、屋上で何日も、ルーフの高さと赤道儀の不動点高を考えて視界のけられや小屋の中での動きやすさなど考えて過ごしました。小屋の向きを決めるだけのために、随分時間がかかりました。ドームなら方向性はほとんど考える必要はないし、夜露がつきにくいのも良い点ですね。ただし、私の場合、2本の赤道儀の視野を同時に確保したいとなるとスライディングルーフ以外に解はないことになります。