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【ご注意】議論の前提条件:アンダーサンプリングと表面照射型CCD(2004年5月)                            

このWebページは、個人観測者が精度の良い測光観測を行うために、参考になればと思い作りました。 系外惑星の恒星面通過を測光的に検出する試みがアマチュアの機材でも成功し、国内でも井田 茂(東工 大)+渡部潤一(国立天文台)両先生による呼 びかけがあり、関心が高まっていて、すでにメーリングリストtransit-MLも発足しています。 このような観測では、その成否は、いかに精度の良い測光観測を達成できるかにかかっています。 その精度は0.01等級以下、できれば0.001等級=ミリ等級までの精度を追求したいところです。

ここでは、主に明るい星を対象にして、個人が現実に利用できる望遠鏡と観測機器を考慮して、次のような前提で議論を組み立てています。

(1)星像直径の実サイズが、冷却CCDカメラのピクセルサイズの2〜3倍よりも小さい場合を扱う。

ここで言う星像サイズとは、ピントを合わせた時に実際にCCDカメラに写る星像サイズの半値全幅(FWHM)のことを指します。つまり、理論値ではなく、実際の望遠鏡の分解能とシーイングサイズの重ね合わさったもの(畳み込み)です。 ナイキストのサンプリング定理よれば、調べたい最小分解能に対して、少なくとも2個以上のサンプリング(見たい最小分解能を少なくとも2ピクセルでカバーする)を行わなければ、信号を正確に理解することはできません。撮像観測の場合、少し余裕を持たせて3倍以上のサンプリングを行うことが推奨されています。この場合をオーバーサンプリング、それを満たさない場合はアンダーサンプリングと呼んでいます。 ここの「高精度CCD測光」で議論するのは、特にアンダーサンプリングの場合に限定して問題を扱うということです。

例1:焦点距離1000mmでの2秒角は、10μmになる。

よく使われているCCDチップのピクセルサイズは、最小のもので7μm、最大20数μmなので、 この程度の焦点距離だとここでの議論に該当する

例2:焦点距離が4mで星像サイズ1秒角(=シーイングサイズ)とする

と、星像の実サイズは20μmになり、ピクセルサイズが20μのCCDのba場合はここでの議論の対象となるが、7μmの場合だと、微妙な場合となる。が、参考になる議論は多いと思われる。

(2)CCDチップは、入手しやすい表面照射型の場合を扱う。

高価な裏面照射型CCDチップが使える場合は、ここでの議論よりずっと測光精度が上がると思われます。と、書いたところそうでもないという指摘を宮坂正大さんからいただきました。     以下、冷却CCDカメラのことを、単にCCDカメラという場合もあります。

(3)おことわり (2020.05.05 追記)

 これまでことわりを書いていませんでしたが、ここでの統計的な議論はすべて、厳密には光子数に直して行うべきことであるのは言うまでもありません。  ここでの殆どの議論は光子数ではなくてカウント数で行っていますが、それはほとんどの議論がオーダーでのものだからで、オーダーで見る限り、カウント数〜光子数とみなしてよいという前提です。特にことわりを入れていませんでしたが、そのような事情です。


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Last modified:2020/05/05 23:01:38
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