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連続測光用望遠鏡ガイドのためのアルゴリズム

ここでは、トランジット系外惑星の測光観測に特化した自動ガイドソフトを開発するためのアルゴリズムを考察する。 すなわち、その観測内容は、比較的短時間(数十秒から数分間)の露出時間の画像を、数時間(2時間から1晩)に渡り、延べ数100フレームほど自動で撮像する場合である。この場合、目的天体の高度は、天頂から地平付近まで大きく変化する可能性がある。

問題の所在

観測に使用する望遠鏡がシュミットカセグレン光学系の場合、望遠鏡の向きによって主鏡が光軸に対して傾くため、望遠鏡の鏡筒の機械的中心軸はうまく恒星を追尾しているつもりでも、画像上での目的天体は位置がずれていく。これは、精密な測光精度を要求される系外惑星の観測では、系統的な測光誤差を生じる原因となり、避けなければならない。ガイドエラーの許容量は、観測の期間を通して、せいぜい10ピクセル程度の範囲に抑えたい。

この場合、観測用望遠鏡に同架したガイド望遠鏡によるオートガイドでは、二つの望遠鏡の光軸がずれるために機能しない。イド望遠鏡を使わず、測光観測用CCDカメラにガイド用チップを内蔵したSBIG社製のCCDカメラなら、うまくガイド星が確保できる場合はうまくいく可能性もあるが、系外惑星の測光観測の場合はわざとデフォーカスしているために、少し暗めのガイド星は見えなくなり、ガイドに使えないという問題点がある。

観測画像そのものでガイディングする

そこで、測光観測している画像そのものを使いガイドすることができれば、いくら長時間の観測でも視野が移動することはなくなる。

前提

1フレームの露出時間内のガイディングは放棄し、望遠鏡の追尾精度に任せる。ミード製の望遠鏡では30秒から2分間の露出でも結構流れることがあるが、あきらめて、測光アパーチャを大きく取ることで我慢する。

ガイド用ソフトに必要な機能

撮像完了直後の画像からガイド修正量を求め、望遠鏡に指示を出すために次の4つの機能が必要である。

(1)星像検出と重心位置を計算する機能

画像から自動で星像を検出し、明るい方から3つの星の重心位置を求める。 下にRubyで実装したプログラムソース(ag05_1.rb)を載せる。

(2)視野同定機能

テンプレートと問題の画像の2枚の視野を同定し、そのズレの量を検出する機能

(3)ガイド用修正量を求める機能

 (2)のズレ量を入力し、出力として、望遠鏡に与える最適な修正パラメータ量を求める機能

(4)望遠鏡の操作

指定した入力値に応じて望遠鏡の向きを修正する機能 ここではTheSky6の機能を使いrubyから望遠鏡を制御する

ガイド用テンプレート

観測開始ころの初期画像をファイル名として指定し、ガイド用テンプレート(参照用画像)として使用する。あるいは”template.fts”と言う名前にコピーしてもよい。

トランジット用画像では、星像は十分明るいので、極限等級まで検出する必要はなく、検出に使う閾値は画像全体の平均値レベル以上に設定してよいだろう。

雲の通過対策

雲が通過するなどして、星像検出がうまくできない場合は、へたに星を探さないで、望遠鏡の追尾に任せ、ガイドソフトとしてはじっとしている必要がある。

# ag05=1.rb
#FITSファイルから最も明るい星像を検出して重心を得る  (C)O.ohshima 2009.9.2
#前提
#(1)画像はデフォーカスされている
#(2)ガイドの対象の星は、サチっていない範囲で画像中で一番明るい(ものから3つ)
#(3)ズレの1/2ずつ修正する(周期的誤差による振動防止)
# ここで使っているxy座標系は、通常のグラフでのもの(=右がx+、上がy+)なので
#SBIGCCD座標系では、回る向きが逆になる

require 'fits'
require 'nimage'

class StarImage
  def initialize(filename)
    f=Fits.new
    f.read(filename)
    @im = f.data
    @nx=f.data.shape[0]
    @sorted_im=@im.sort
  end

  def get_g
    #imaxで定めるカウント数より暗くて、一番明るい星像の重心を求める
    #threshold_factorで星像検出の閾値を定める
    #        threshold = median + stddev*threshold_factor
    #重心検出に成功した時の戻り値は、[x座標、y座標、総カウント数]
    #総カウント数は、閾値より大きな値の総計
    #失敗したら,falseが返る
    imax=60000
    threshold_factor=3
    star_size=5
    i=1
    until @sorted_im[-1*i]<imax 
      i=i+1
    end
    d=@im.eq(@sorted_im[-1*i]).where[0]
    j=(d/@nx).to_i
    i=d-j*@nx
    @thres=@im.median+threshold_factor*@im.stddev
#p  @thres=image.mean
  p self.is_star?(i,j,star_size)     
  end

  def is_star?(x,y,size)
  #星像であるか否か?
  #引数(検証出発点のXY座標, 濃度検出閾値、星像サイズ閾値FWHM)
  #星像サイズより大きければ星像
    @lx, @ly=fwd2wall(x,y)         #星像の壁まで突き当たり、左手法を開始する座標
#    print "start left_hand_search at (",@lx+1,",",@ly+1,")","\n"  #in ccd pix coordinates
    @maxx=@minx=@lx
    @maxy=@miny=@ly
    @gx_sum=@gy_sum=@im_sum=0.0
    left_hand_search(@lx,@ly+1,0,1)     #開始地点から右回りに探査を開始
#p   "\n", 'now start residual search'
#    left_hand_search(@lx,@ly-1,0,-1)  #開始地点の左ピクセルから残りの探査を開始
    if ((@maxx-@minx)>size and (@maxy-@miny)>size) then
#print "minimax:", @minx,",",@maxx,",",@miny,",",@maxy, "\n"  #連続領域範囲
      (@minx..@maxx).each do |x|       #連続領域のピクセル値の加算
        (@miny..@maxy).each do |y|
           if @im[x,y]<@thres then
             @im[x,y]=0 
           else
             @im[x,y]=@im[x,y]-@thres
           end 
           @im_sum = @im_sum + @im[x,y]
           @gx_sum = @gx_sum + x*@im[x,y]
           @gy_sum = @gy_sum + y*@im[x,y]
         end
       end
      gx = @gx_sum/@im_sum              #星像の重心計算
      gy = @gy_sum/@im_sum
      return gx, gy, @im_sum      #戻り値
     else
       false
    end
  end

  def left_hand_search(x,y,dxp,dyp) #再帰を使った連続領域範囲の探査 
# 引数:現在のx,y座標、dxp:直前のx増分、dxy:直前のy増分
# 事前に定義が必要なインスタンス変数
#  @im[]  披検査画像(Narray)
#  @thres 閾値
    pixel_value=@im[x,y]
#    print "("+x.to_s+","+y.to_s+")",  pixel_value
    if pixel_value>= @thres then
      if @miny>y then @miny=y end  #星像範囲設定
      if @maxx<x then @maxx=x end
      if @maxy<y then @maxy=y end
      if @minx>x then @minx=x end
      unless (@lx==x and @ly==y) then
        l_value=@im[x+dyp,y-dxp]
        fw_value=@im[x+dxp,y+dyp]
        r_value=@im[x-dyp,y+dxp]
        case 
        when l_value >= @thres
#p          'toL'
          left_hand_search(x+dyp,y-dxp,dyp,-dxp)
        when fw_value >= @thres 
#p          'fwd'
          left_hand_search(x+dxp,y+dyp,dxp,dyp)
        when r_value >= @thres
#p          'toR' 
          left_hand_search(x-dyp,y+dxp,-dyp,dxp)
        else
#p          'back'
          left_hand_search(x-dxp,y-dyp,-dxp,-dyp)
        end
      end
     else
#p      'less than threshold'
       @lx=@lx-dxp
       @ly=@ly-dyp
       left_hand_search(x-dxp,y-dyp,-dxp,-dyp)
    end
  end

  def fwd2wall(x,y)       #内部の点から星像の壁までx座標を進める
    pixel_value=@im[x+1,y]
    if pixel_value>=@thres
      fwd2wall(x+1,y)
    else
       return x, y     #この戻り値から左手法を開始する
    end
  end
 

end

#t0=Time.now
im=StarImage.new('./data/HAT-P-2.00000030.FIT')
#im=StarImage.new('./data/Wasp14b.00000060.SAO_83398.FIT')
im.get_g
#p Time.now-t0
上のag05.rbの動作記録
(1)デバッグ用のプリントアウト機能を使い、途中経過を出力したもの
o2@am2:~/ruby/fits$ ruby ag05.rb
2879.1038131781
start left_hand_search at (428,113)
(427,113)2583.0"less than threshold"
(427,112)2901.0"toL"
(426,112)5009.0"toL"
(426,113)3400.0"toR"
(425,113)5745.0"toL"
(425,114)3278.0"toR"
(424,114)4780.0"fwd"
(423,114)6463.0"toL"
(423,115)3022.0"toR"
(422,115)3224.0"fwd"
(421,115)3137.0"fwd"
(420,115)3157.0"fwd"
(419,115)2908.0"toR"
(419,114)4661.0"toL"
(418,114)3247.0"toR"
(418,113)4483.0"toL"
(417,113)3006.0"toR"
(417,112)3392.0"toL"
(416,112)2892.0"back"
(417,112)3392.0"toL"
(417,111)3953.0"fwd"
(417,110)3933.0"fwd"
(417,109)3633.0"fwd"
(417,108)3064.0"toR"
(418,108)4400.0"toL"
(418,107)3436.0"toR"
(419,107)4166.0"fwd"
(420,107)5226.0"toL"
(420,106)3206.0"toR"
(421,106)3635.0"fwd"
(422,106)3467.0"fwd"
(423,106)3481.0"fwd"
(424,106)3024.0"toR"
(424,107)5201.0"toL"
(425,107)3905.0"toR"
(425,108)5841.0"toL"
(426,108)3618.0"fwd"
(427,108)2907.0"toR"
(427,109)3006.0"fwd"
(427,110)3182.0"fwd"
(427,111)3234.0minimax:416,427,106,115
[421.942153070307, 110.763682001345, 450463.348564148]

(2)最終結果のみを出力したもの
o2@am2:~/ruby/fits$ ruby ag05.rb
[421.942153070307, 110.763682001345, 450463.348564148]

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Last modified:2009/09/07 16:04:19
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