まずは光子統計と測光精度
カウント数は1,000,000以上を目指そう
測光精度を決める大きな要因として、光子数がある。光子はランダムな時系列で検出器に入ってくるため、統計的な揺らぎを持つ。この揺らぎのために生じるノイズを、ショットノイズという。このような場合は、検出光子数が多いほど精度を稼ぐことができる。
従って、S/N比を1000(精度0.1%)を目指したい時は N_sを1000,000以上にしなければならないことがわかる。 実際には、CCDで記録されるカウント数は、AD変換後の値であり、検出され た光子数(=光電子数)そのものではない。1カウントが光電子何個分に相当 するかをADU(AD変換単位、資料編参照)と呼び、CCDカメラメーカの仕様書 に明記されている(ADUを明記していないようなCCDカメラのメーカは、測光用 途を考えずに製造していると思ってよいだろう)。 なお、ADUは上に説明した光子の統計的性質を利用して、自分で調べるこ とができる。4.2 AD変換単位の調べ方参照。
ST-9の場合を例にとると、ADU=1.6であるので、検出光子数1000,000に対応す るADUでのカウント数は、1000,000/1.6=625,000カウント以上あればよいことにな る。しかし、S/N比は良いに越したことはないし、特に日本では天気の関係で余裕が 欲しいので、観測上の目安としては、
ざっと1000,000カウント以上
を目指せば間違いない。
検出できる光子数は多いほど良い。ゲーテにならって「もっと光を」である。 従って、一般論として言えることは、使用する望遠鏡の口径は大きいほど良い (ただし、焦点距離は長いと困ることも多い→後述)。
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