ダークフレームは使い回しができるか
ダークフレームの再現性について
疑問
ダークフレームは、観測ごとに毎回撮り直さないといけないものなのだろうか?
毎回撮り直さなくてもよいなら、労力がずいぶん助かりますね。何せ高精度のダークを得るには、天体の撮像時間と同じ露出時間で、しかも枚数が多い方がよいのですから。系外惑星のトランジットを測光するときなどは、ダークは100枚ほど撮ります。
実験方法:
以下、冷却温度-25℃、露出2秒という共通条件で撮像した。
(1)同じ日に100枚ダークを撮った時の最初と最後のダークの違いを調べた。
まず、1枚目を100枚目のフレームで割り算してみた。その撮影時間は5分程度。 その演算結果の画像を表示させるには、Min0.71,Max1.35という範囲が必要だった。 ダークが1枚だけだと、ダークは100カウント程度なので、それだけバラついた値になります(統計的に少ない電子数ほどばらつきの割合は大きくなるのは当然)。
(2)別の日に100枚づつダークを撮った時のマスターダークの違い
次に、別の日に得た100枚ずつのダークフレームをメジアン処理して得られたマスターダークフレーム同士を割り算してみた。
マスターフレームは、そのCCDの「真のダーク」により近い物と考えられる。その結果の画像を表示させるには、Min0.963,Max1.048という狭い範囲で十分であった。
結論:
同じ日の少数のダーク同士よりも、別の日に多くのダークから得たマスターダーク同士の方が、ずっと近い画像となり、ダークフレームの再現性は良好であることがわかった。
すなわち、
冷却温度と露出時間、ビニングが同じなら、別の日のダークフレームを使用してよい。
と結論される。
比較のために、(1)と同じ条件であるMin0.71,Max1.35の範囲で(2)の画像を表示す。ずっと滑らか=違いが少ないことがわかる。
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